後輩(新人)の指導をする7つのメリットと、各5つのやるべきルール、やってはいけないルール
最近職場で後輩の指導する機会が増えてきました。それに伴って私も自分の教え方を見直し、向上させなければ!ということで、最近教え方についての本を色々と読んで学んでみたので、アウトプットも兼ねて私が学んだことを書いていこうと思います。
指導することで得られるメリット
- リーダーシップが身につく
- 仕事人としての自信がつく
- 会社からの評価が上がる
- 自分の言いたいことをまとめる力、話す力が向上する
- 会社や仕事の意義について深く理解できる
- 相手に合わせた考え方が出来る
- 相手から信頼される
人を指導するのは難しく大変です。しかし上手に出来るようになることで得られるメリットも貴重なものになります。組織に所属している限り上司と部下といった上下関係が出来るのは仕方がありません。私もそうですが後輩が出来、ゆくゆく昇進したとしたら部下が出来ることになります。そうなった際、人を統率し引っ張っていく力、リーダーシップが大事になってきます。なので今後も組織人として仕事をしていくのであれば、早い段階から後輩の指導に取り組み、効果的、効率的な指導方法について試行錯誤しリーダーシップを得ることが将来に自分の為にもなります。
そしてリーダーシップが身につく以外にも様々なメリットがあります。
自分の指導した後輩が仕事で活躍すれば自分の評価も上がりまし、自分の指導が上手くいったという自信にも繋がります。また、指導するということは相手に上手く、分かりやすく伝える技術が必要になります。なのでやっていくうちに自分の伝えたいことを上手くまとめる力、そして伝える力が向上します。そして分かりやすく伝えるためには必然的に自分が相手以上にその物事について理解していなければなりません。なので相手に伝えようとすれば、自ずとその物事について考えを巡らせ、理解を深めることで自身の成長にも繋がります。
そして指導する相手も人間です。世の中にはいろんな価値観、考え方を持った人がいます。ハキハキとしたタイプの人もいれば、根暗な人もいます。指導していく上で、相手のタイプを見極め、そのタイプに合った指導方法を考えていくことで自身の指導力やコミュニケーション能力も向上することでしょう。指導していく上でまずは相手との信頼関係を築くことが第一!相手とある程度以上の信頼関係が築けていなければ指導も相手の心には届きません。まずは相手との信頼関係を築くことを第一に取り組みましょう。
指導する上でやるべき5つのルール
- それをやる理由を説明する
- 一緒に改善する気持ちで
- 伝えることはなるべく1つに絞る(多くても3つ以内)
- 指導した後はフォローする
- 叱る前後にプラスの言葉を掛ける
それをやる理由を説明する
何かを教えるに当たって、まず相手に伝えなければならないのは、なぜそれをするのか?ということです。これはどんな時でも伝える必要があります。仕事を教える時であれば、なぜその仕事をするのか?どんな意味・目的があるのか?会社にどんなメリットがあるのか?といったことです。人は意味が見出せないことにやる気ややりがいは感じられません。
例えるなら、穴を掘る仕事をしていたとしましょう。ただ「穴を掘るのが仕事だから穴を掘れ」と言われたら、言われた側の人間はやる気にはなりませんよね。ただ黙々と穴を掘るだけでは奴隷のようなものです。「これは油田を発掘するために掘っているんだ」、「温泉を掘り当てるために掘っているんだ」等々、その仕事に目的や意味がなければやる気もわきません。
また、様々な知識、情報、技術、スキルを教える事を通じてそれを身につけることで得られる喜び、楽しさ、面白さ、やりがいなどの精神的な満足感を教えることができれば、相手のやる気も更に高まり効果的です。出来るなら今教えていることを覚えることでどんな素敵なこと(相手にとってのメリット)が待っているかも教えましょう。
一緒に改善する気持ちで
仕事は一方的に押し付けてはいけません。やる気も能力もあり、一人でサクサクと仕事を進められるような優秀な人ならいいですが、大抵の人はそうではありま せん。「この仕事◯◯日までにやっといて」といったふうに一方的な仕事を押し付けるのは相手からすると命令的でやる気も湧きませんし、まだ仕事に慣れてい ないのであれば一人で海に放り出されたような感覚になります。「この仕事〇〇日までにやらなきゃいけないんだけど、どうだい、一緒にやらないか?」と伝えた方が相手も安心です。もちろん相手に主体的にやってもらうわけなので自分がマンツーマンでやる必要はありません。相手に任せて、分からなければ聞いてね!とすればいいですし、相手も一緒にやろうという言葉を聞いて安心して仕事に取り組めますし、ホウレンソウも積極的にしてくれるかもしれません。
伝えることはなるべく1つに絞る(多くても3つ以内)
相手に指導しなければいけないことは沢山あると思いますが、一度に沢山のことを言うのは良くありません。なるべく一つのことに絞って、多くても3つ以内に絞って伝えるべきです。人間は一度に複数のことは覚えられません。1度に3つ程度がしっかりと覚えられる上限です。口頭で伝えるならば3つ以内に、3つ以上の場合でもまとめられるならまとめて3つに絞って伝えるようにしましょう。もしどうしても3つを超えそうならメモをとってもらい、後で見返すように伝えましょう。
指導した後はフォローする
そして指示や指導の後のフォローも大切です。自分の指示や指導に対して相手がどのように感じているか、正しく理解したかのフィードバックを得て、相手の行動の修正やサポートを行っていく必要があります。言いっぱなしではなく、相手の行動をチェックし途中でもう一度指示の再確認や、相手に伝わりやすいように変更した言い方で指導することで正しい方向に導くことが出来ます。
叱る前後にプラスの言葉を掛ける
しかし相手がミスをしてしまうこともあるでしょう。そうした際、相手のやる気を下げないためになるべくそのまま叱らないようにしましょう。相手の頑張りを認めた上で注意する、叱ることで相手のやる気を下げずに軌道修正が出来ます。
指導する上で絶対にやってはいけない5つのルール
- 人格を否定することを言う
- 感情的に叱る
- 相手の意見を聞かず、一方的なことを言う
- レッテルを貼る
- 他人と比較しない
人格を否定することを言う
相手を指導する際に一番注意しなければならないのが、人格を否定する発言をすることです。 「なんでこんなことも出来ないんだ、お前はダメな奴だな」と言うような発言です。相手のやる気を大きく下げるだけでなく、信頼関係を崩すことにもなります。行き過ぎれば相手は精神的に追い詰めてしまい、自分にとっても命取りです。パワハラ、モラハラが問題視されている昨今、もし相手がモラハラだと訴えだしたら自分の社会的な立場が危うくなる可能性もあります。人格を否定する発言だけが絶対にしないようにしましょう。
感情的に叱る
私も含め、多くの人がやってしまいがちではあると思いますが、感情的に指導するのも避けるべきです。感情的(怒って、声を荒げて、イライラした感じを出して)に指導することは短期的に見ると、相手の行動を変える上で即効性があるというメリットがあります。しかし、長期的にはデメリットしかありません。まず、相手が萎縮してしまし自分との信頼関係に影響を及ぼす恐れがあります。言い方によっては相手が反発心を抱き、関係が破綻します。信頼関係が築けなければ効果的な指導は出来ないので大きなデメリットです。また、相手に怖い人という印象を抱かれてしまうと、相手は怒られるのではないかという不安が生じ、業務をする上で不都合が発生します。何かというと報連相(ホウレンソウ)の減少です。もちろん報連相は社会人としての基本なので、相手も職務を行っていく上で最低限はするでしょう。しかし最低限しかしません。人は誰しも怒られるのは嫌なものです。感情的な怖い人が相手なら尚更です。怖い人だと思われてしまうと必要以上のことは言われなくなります。
相手の意見を聞かず、一方的なことを言う
指導する際に相手の言い分を聞かず、自分の主観だけで一方的に言ってしまうことも避けるべきです。ミスがあり、それを指導しようとしたとして、本当に相手が原因で発生したミスなのか確認してから指導しましょう。もしかしたらミスの原因は相手ではなく他にもあるかもしれません。もし相手が原因のミスなら、それを相手がしっかりと自覚しているのかも確認し、自覚して反省しているなら深く注意する必要はないですし、自覚していないようなら厳しく指導する必要があります。相手の言い分を聴き、しっかり理解した上で指導することが大切です。
レッテルを貼る
相手へのレッテル貼りも相手の成長を妨げるのでやめるべきです。レッテル貼りとは「君はいつもミスばっかりだね」や「君は注意散漫なところがあるね」、「女はこれだからダメなんだ」、他にも「アルバイトなのにやる気あるね」などといった言い方です。過去の失敗や偏見から相手の印象を決めつけてしまうと、相手のやる気を害し成長を妨げます。過去の失敗を蒸し返さず現在の問題に限定し、その時々の状況で、個々に合わせて、一般化やカテゴリー分けしない言い方をしましょう。
他人と比較しない
他人との比較もNGです。「同期のAさんは出来るのになんで君は出来ないんだ」と言った言い方です。他人は他人です。それぞれ違う人間なので能力に違いが合って当たり前ですし、全く同じように出来るはずありません。人それぞれ強み、弱みもあります。Aさんに出来ないことがその人には出来ることもあります。また、他人と比較することでその二人の間の関係がギクシャクする可能性もあります。下手に比較し人間関係を悪化させるのは職場にとって大きなマイナスです。他人と比較せず、その人個人に向き合って指導するようにするべきです。
その他メモ
勉強した中で知った法則や気に入った部分をメモしておきます。
PM理論
リーダーシップ行動論の 1つ。日本の社会心理学者、三隅二不二(みすみ じゅうじ)が1966年に提唱したPM理論とは、リーダーシップをP:Performance「目標達成 能力」とM:Maintenance「集団維持能力」の2つの能力要素で構成されるとし、目標設定や計画立案、メンバーへの指示などにより目標を達成する 能力(P)と、メンバー間の人間関係を良好に保ち、集団のまとまりを維持する能力(M)の2つの能力の大小によって、4つのリーダーシップタイプ(PM 型、Pm型、pM型、pm型)を提示し、PとMが共に高い状態(PM型)のリーダーシップが望ましい、とした理論。
PM型(P・M共に大きい)
目標を明確に示し、成果をあげられると共に集団をまとめる力もある理想型
Pm型(Pが大きく、Mが小さい)
目標を明確に示し、成果をあげるが、集団をまとめる力が弱い。
成果はあげるが人望がないタイプ
pM型(Pが小さく、Mが大きい)
集団をまとめる力はあるが、成果をあげる力が弱い。
人望はあるが、仕事は今ひとつというタイプ
pm型(Pが小さく、Mも小さい)
成果をあげる力も、集団をまとめる力も弱い。リーダー失格タイプ。
指導をするTPOに注意
指導する際の基本としてTPO(場所、時間、状況)を考慮したうえで行うこと。
長い説教より短いメッセージ
長々と説教するのは相手も嫌なもの。早く終わらないかと負の意識が高まり、指導の内容が相手の頭に入らない。叱るのは短く、的を絞って伝えたほうが相手の頭にも残る。
全体から教え、細部、詳細という順番で教える。
時間の流れに沿って教える。(過去・現在・未来)
過去の状況を教え、その後どういう経過を得て現在の状況ににり、今後どのようにしていきたいか、どうするべきか、という流れで教える。
PREP法
Point(ポイント)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(ポイント)
の順番で説明することで説得力が増し、相手も理解しやすい。
出来る限り比喩、引用、数字やデータを使う。
相手が何を望んでいるか
何のため、何を、どのようにという順番でシンプルに教える
報告・連絡・相談(ホウレンソウ)について
報告…過去(結果や過程を共有)
連絡…現在(現状の把握)
相談…未来(問題が起きた時、またはその前に指示を仰ぐ)
報連相の目的…情報を共有し、組織を強化するため
部下からの報連相がないと、どのタイミングで教えたりフォローすればいいかわからない
参考図書
今回読んで参考にした本は以下の通りです。
あたりまえだけどなかなかできない 教え方のルール (アスカビジネス)
- 作者: 田中省三
- 出版社/メーカー: 明日香出版社
- 発売日: 2009/09/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 17回
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人を育てる「叱り」の技術―コーチングの第一人者が教える部下指導の極意
- 作者: 本間正人
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2003/10/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 17回
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上記の本の中でおすすめは上から2冊、
「あたりまえだけどなかなかできない 教え方のルール (アスカビジネス)」と、
「人を育てる「叱り」の技術―コーチングの第一人者が教える部下指導の極意」
ですね。
この2冊は具体的な内容が、論理的に分かりやすく書かれていて参考になりました。
「教え方のルール」は教える上で大切で基本的な、でも見落としがちなルールが100近く乗っており、教える上で大事な事が再認識出来ますし、教える心構えを付けるにはうってつけだと思います。100近くあるルールを全て覚えるのは困難ですが、この内のビビッときた10〜20個くらいを覚えておいて意識すれば効果的な指導が出来るかと思います。
「叱りの技術」の方は具体例なども豊富で実際の職場でもすぐ使えるような知識が多く載っています。叱りとは、叱る上での心構え、具体例という順番で書かれており、特に具体例が参考になりましたね。そして筆者の書き方が論理的で非常に上手いと思いました。
まとめ
人に教えるというのは難しいものです。私もまだまだ試行錯誤している段階ですが、徐々に向上していけたらと思います。
以上、良かったら参考にしてみてください。それでは!